8月10日に発売になった拙書「音楽の黙示録」が先日写真入りで読売新聞の書評に取り上げられました。そして今日東京新聞でも掲載され、まことに僥倖なことです。
本に関する詳しい事は、テスパブリッシングのwebsite https://artespublishing.com/shop/books/86559-238-2/をご参照ください。
謳い文句はこうです。
「NO」から始まる音楽論。
音楽の世界に蔓延する権威と常識を問いなおす「18の論点」!
読者の何割かは最後の章まで読破するでしょう。
そのうち一定数の方々は、不愉快な思いをし、お怒りになるかもしれません。
が、一方で、俎上に挙げられたさまざまな事象とその論考に瞠目し、心の裡で喝采してくださる方々もいるはずです。──南 博
本書で、私が書いてきた領域は多岐にわたっている。
音楽家の矩(のり)を踰(こ)えていると思う方が大半だろう。
だが、私が書きたかったことは、まさに、そうした実は何の根拠もない「矩」をこしらえた、
何か大きな力に対するリゼントメント(憤激)である。──森本恭正
ラディカルに、そしてロジカルに権威を切り裂く多能な作曲家と、
言葉のインプロヴィゼイションで読む者を覚醒させる異才ピアニストが
ジャンルを超えて交わした言葉のインタープレイ。
誰も語れなかった〈音楽〉がいまここから聞こえてくる──
ご覧のようにこの本は初の共著で、相手の方は森本恭正氏というウイーン在住30年余の作曲家の方で、40年ほど前にミュージカルの劇伴でご一緒したのがご縁で、どうしてか今まで付き合いが続いていました。本の内容は読んで頂くしかないのですが、ジャンルを超えて、日本音楽に蔓延る矛盾、日本の音楽教育では越えられない様々な事象を論理的に著したもので、一読の価値ありです。
17の章立てから構成されており、音楽と脳、音楽と権威、音楽とAIと創造など様々な観点から、往復書簡形式で成り立っています。どうもどこか日本の音楽教育に違和感のある方、どこか納得し難い事象を感じている方には特にお勧めです。
最初は対談形式で本を作ろうとしましたが、さて始めるかという時期が去年の三月で、日欧で活躍する森本氏が東京に留め置かれる事態となり、往復書簡でのやりとりに成ったという経緯があるのですが、人間万事塞翁が馬であり、往復書簡の方が中身の濃い内容となりました。個人的な事ですが、書き終えるのに一年を要しました。
脱稿してからこの方、実はよくぞここまで書き上げたと自分を褒める意味で、何かご褒美をと考えていました。私には趣味が無く、古本屋巡り程度の遊斬しかありませんでしたが、なぜか腕時計が好きで、買えないであろう高額な腕時計をネットなどで見る事が、趣味と言えないまでも私のお気に入りで、まあ一冊大変な思いをして本を出版したのだから、腕時計の一つも自分のご褒美に買ってみるかという気になりました。
特に機械式腕時計とは不思議な存在で、世の中ここまで合理主義、効率主義が蔓延しているのに、全ての時計がクオーツにはなりません。機械式よりクオーツの方が正確である事は言うに及ばずですが、その宝飾性も相まって、ソーラー時計、クオーツに負けず劣らずの機械式時計が私は好きで、だからと言って高額なものには手が出ず、まあ自分なりに気にいるものをゆっくりと探した次第。
そこで選んだのが安価ではありますが、ヴィンテージのシブシブな一品で、先日ネットで注文し、今日届いたので、すかさず腕にはめてみると、思った通り良い感じの佇まいです。
ヴィンテージゆえどこでも売っている腕時計とは違う趣も気に入っております。
さて、時間を合わせ、一日経ってから日差がどれだけあるかも一つの楽しみで、なんとなくではありますが、長い付き合いになりそうです。ご褒美はやはり、次のステップに必要な事と改めて認識しました。
まあ、日差15秒程度であれば良いのですが。仕事の時間に送れないようにしなければ。