つらつら思うに

日本語とはある意味では素晴らしい言語で、この「つらつら」と言う言い回しも英訳は出来ない。国語辞典で意味を調べると、つくづく、よくよく、とある。これを無理に英訳してみたら、Fully と出て来た。違うんだなあ、これが。つくづくと、となれば completly, faundamentally かな。しかし、根本的に、であれば根本的にと書けば良いのであって、つくづく、つらつらとあえて言うのは、やはりつらつらとぼんやり何か考えているからであろう。

 

だからつらつら思うに、よくもまあ今まで死なないで生きてきたなあと思う。20台後半の頃、バブルの真っ最中の銀座のクラブでピアノを弾いていたが、いわゆるピアノのセンセーとママやチーママ、お客様から呼ばれていた時代で、クラブのオーナーはその筋の方であり、その筋の方々にも可愛がられたと同時に、その組織に属していないその筋の方々には、オマエなにザギンうろちょろしてんだよと因縁をつけられ、クラブRでピアノを弾いている者ですと言っても、向こうはいちゃもんをつけるのが仕事なので、ビルの谷間に引っ張り込まれ、よー、けーちゃん出せよ、なんてこともありました。今時けーちゃん、と書いても意味はわからないでしょう。腕時計の事です。先ずは金目の物を奪われる。次は財布の中身となりますが、何度もそういう目に遭っていたので、当時財布には一万以上入れておらず、カンベンしてくださいようおにいさん、こっちも忙しいんだから、などとタメ口きいていました。お店には組織の親分が夜な夜な現れ、こちらも若くもあり、ずいぶんとかわいがってもらいましたが、向こうはタダでは可愛がらない。危うく高い車を売りつけられそうになったり、なんだかんだあって、ここには書けないような経験も数多あり、今からつらつら思うに、よく命があったものだとつらつら、つらつら頭の中をそれらの記憶がよぎる訳です。暑いと碌でもないことしか、つらつら思い出さない。つらつら、つらつら。

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