ジャズ・ポピュラーピアノを学ぶ上で避けられないのが音楽用語を理解する事です。このことはクラシックも同じで、クラシックの場合はドイツ語、イタリア語、声楽家ならその歌曲が作曲された国の言語を妙な訛りなく歌うことも要求されるでしょう。ですが、幸いに、という言葉は変ですが、ジャズ・ポップスの場合は英語さえある程度わかれば理解できます。そしてどうしてその名称がついたのか、その理由を知れば、暗記する必要はありません。例えば三和音の事をTRIADと称しますが、TRI は三を意味し、例えばTRIANGLE,は直角三角形、TRILINGUAL,とは三カ国語を話す者のこと、TRICYCLEとは三輪車のことです。ANGLEとは角度の事で、よくカメラのアングルと言いますね。同様に、下属音。SUB DOMINANT, 属音、DMINANNT,主音、TONICと妙な漢字が当てはまっていますが、DOMINANTは調ればわかる様に、支配的、優勢なという意味があります。つまり音楽の歴史と共にこれらの用語を知っていけば附に落ちることが多い。ジャズと言ってもそのノーテーション、扱っている楽器など全てヨーロッパのクラシックから来たもので、その理論もクラシック400年近い音楽史の中で作曲家が少しづつ編み出して行ったものを、1910年代あたりからアメリカがCHORD SYMBOLS(コードネーム)というものでまとめていってしまったわけです。因みにTONICとは,肉体的に元気付けるもの、つまりヨーロッパ人はその科学、軍事力、キリスト教の力で世界を征服したかったわけです。
DOMINANT→TONICとは宗教上の支配と解放を意味していて、このBの音はC,Fの音はEに解決(RESOLITION)するこの話声のFUNCTION(機能)で、世界を席巻してやろうとヨーロッパ人は考えました。実際それは世界史を見れば明らかです。また、いわゆる古典音楽の最終楽章にDOMINANT→TONICの動きが何度も出てくるのは、我われはこの機能の発見によって世界を席巻するのだという息込みがあったのでした。ですから、DOMINANT=支配なのです。こういう事を理解せずに、ただタブ譜などを覚えても応用が効かないのではないかと思うと共に、ジャンルはどうあれ音楽に関わる意味合いも違ってくるのではないでしょうか。
この様に他の音楽用語も暗記することなく理解しながら学んでゆけば、CHORD SYMBOLSというものは、至極便利なものであり、特にジャズを演奏しなくとも、クラシックの曲を暗譜する際にも役立ちます。調性のある音楽ならば、曲中のどこが、DOMINANTなのか、TONICなのかを併せて曲を暗譜すれば、何百回も弾いてただ闇雲に指癖で覚えたり、本番中ふっと止まってしまうということがなくなるのではないでしょうか。今度また改めて音楽用語の説明をします。