午前1時半

某月某日
また夜中に目が醒めてしまった。午前1時半である。5月15日、某月某日もヘッタクレもない。ぼくは44歳となった。別段なにかが変化したという自覚はない。後厄からも抜け出した。厄年なんて、ありゃアただの迷信だとタカをくくっていたら、40,41,42,43歳と、肉体的にも精神的にも大きな変化があった。体力が如実に落ちたり、急に老け込んだということではないが、肉体がある意味でひとつの折り返し地点に来た感あり。いま思い返せば、厄年の真っ最中、死の事ばかり考えていたような気がする。そういう男の季節なんだなと思う。論語にある有名な言葉に、40にして惑わずというのがある。次は50にして天命を知るだが、そんな先の事は考える余地なしで、40にしてもおおいに惑っている最中である。現在44歳で、死ぬことすら面倒臭くなってきてしまった。どうにでもなれという気分の中に、自分の死も,やもうえなく含まれているといった感じだ。何歳まで生きて、なにをするかはぼくにも分からないが、ただ糞をして飯を喰って寝るという人間にだけはなりたくない。この世の中に少しでも良いから美しいものを提供したい。

某月某日
いろいろと仕事の準備をやっていたら朝になってしまった。導入剤をのんで、眠くなり始めた時が潮時と思っていたら、いっこうに眠くはならず、頭がぼーっとするだけ。9月にデンマークのバンドを日本に呼ぶ算段、そして5月20日のMOTION BLUE に於けるパードン木村氏とのデュオのコンセプトやアイデアなども考えねばならない。5月24日には、ピットイン(もちろん新宿の方ね/)でHORACIO “EL NEGRO”HELNANDEZ(DS)と、CARLOS DEL PUERTO(B)とのトリオ演奏にものぞまなければならない。このトリオに、ストリングスアンサンブルが加わったものが、新譜として今年9月初旬に発売予定である。ピットインではストリングスは入らない。菊地プロデューサーの意向で、なるべく短い演奏時間のCDを作ろうということになった。6曲アレンジしたものをなるべく短く演奏した。トータルとしての時間は30分前後だと思う。これでは、ピットインのショウで演奏するには時間が短すぎる。既に録音した曲もトリオで演奏するが、もう5曲ほど揃えて2SET,既にレコーディングした曲とは別の雰囲気のものをそろえなければならない。まああまり心配はしていないが。彼らは世界レベルで上手いので、なにが起きようと、どんどんぼくの思いもしない方向に音楽を進めていってしまうかもしれない。自国を捨ててまでも音楽をやる決心をしている共演者に、この平和ぼけしたアンポンタンのぼくが、芸術の世界で挑むのである。上手い下手も重要なファクターだが、それだけでなく、音楽のために、自らの母国を出て来た男達の放つサウンドには、音の真の何かに、我々の知りようのないムチのような音楽的筋肉と腹の括りかたの重さが同居しているに違いない。いざとなったら、ぼくもそういうサウンドに、同等なかたちで挑めるだけのミュージシャンになりたい。何かと五月は多忙である。

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