つまらん世の中

なんだか四時半に眼が醒めてしまって、手持ち無沙汰だ何のって、練習する気にもなれず、汗だくだし、シャワーでも浴びようかなあと思うんだけど、起き抜けの私はやたらいろんなものにつまずく癖がって、奥さんが、うるさい!とか騒ぐし身動きが取れない。本当はこの時刻東雲といって陽のでる直前の静謐で詩的な一刻なのだけれど、どうも私の場合そうではないようだ。しかし世の中つまらなくなったものである。以前の私なら、ニコチン濃度の濃いたばこを三〜四本吸いながら窓を開け、珈琲を飲みつつ虫の声を聴きながら「うむ、そろそろ秋か」などどとロマンスグレイをかきあげたりしていたのに、ヨメにエアーコンデショナーの温度が上がるから窓は明けないでとか、だいたい何度上がるか指し示してみい言うンじゃ。禁煙したから良いが、そこら辺地べたにパックマンの親戚みたいな奴がタバコを吸っている絵柄に大きなバッテンが書いてあり「禁煙」「禁煙」てそこら中にシールが張ってあるにもかかあらず、コンヴィ二エンスにはタバコが二四時間買える態勢が整っている。現政権と共にふ・ザ・け・る・な。だいたい飛行機が全面禁煙になったのもそう昔のことではない。東京、NY間など紫煙をくゆらせながらずうーっと読書をしていたものである。全財産と命をかけてDeclare する。飛行機の乗客が全員チェーンスモーカーでも飛行機は墜ちない。「当機は禁煙となっております。非常に危険なのでトイレで吸うのは止めましょう」などとスチュワーデスと言ってはいけないんでしょ、フライトアテンダントが放送で言ったりしてるが、彼女達の休憩室では吸える様になっているとオレは見ている。なんだかんだ言ったって空飛ぶ芸者なんだから、飛行機に酔った奴のゲロも掃除するのは、あの見目麗しいネイチャン達でしょ。ストレスたまりますよ。そんなに昔の話はないが、スチュワーデスに機長に挨拶をしたいと言ったら快く引き受けてくれて、操縦席に入れてもらった事がある。雲海の上を飛ぶ飛行機の眺めは尋常でないくらいすばらしかったが、この話のミソは、機長がパイプをくゆらせていたということである。なにが禁煙だ。機長がパイプ吹かしながら「あのねえ、全部自動操縦だからねえ」何て言っていたのを思い出す。どこのドアホが飛行機テロやハイジャックなどという卑怯なまねをヤリだしたのか。

朝の一服もできないから、シャワーに入ろう。最近私はシャンプー、リンス、石鹸、何も使わない。そのほうが皮膚の状態もよくなったって、こら花×石鹸を筆頭とする化粧会社。おまえらあのどろどろに何を混入してたんじゃぼけ!おかげで近日爽快で、ヒゲを剃るときしか石鹸は使わない。ヨメはナチュラルどーたらリンスなどを使っているが、じゃあ普通のシャンプーとかに何入れてんだ?

さてと、音をたてずにシャワーを浴びられたので、これから散歩とヨガだ。酒煙草を辞めた私の趣味は深呼吸。
タダだし、ゴルフ、車のように訳の分かんないカネがかからない。全部タダ。ダンベルを三〇〇〇円で買ったのみである。喫煙、深酒の代わりに行っていることだが、医師に余命三ヶ月と言われたら、直ちにピーカンを買いモクモクとなり、眼が醒めたその時から珍しい吟醸酒をゴックンゴックン飲んで、仰向けに野垂れ死ぬのが、我が理想である。医者に治療費と称してカネは一銭も払わない。なぜかといえば、大病後、どこまでを治ったと言えるのか。退院後、医者がメシ喰わしてくれるとは到底思えない。寛解という謎の言葉を使うのはそれが為で、いわんや完治したとしても何年後かにはまた別の要因でクタバルのでる。ああ、すばらいい東雲だ。

CONTACT

onaip@me.com